1つの雑誌が今のヨガ市場をつくった
ちきりん メディアで市場創造がなされた例といえば?
田端 僕がこういう時よく例に出すのは、『Yogini(ヨギーニ)』というおしゃれなヨガ雑誌ですね。これ2004年に創刊されたんですけど、それまでのヨガのイメージってオウム真理教の修行とかだったんですよ。
ちきりん あー、そうでしたね(笑)。
田端 とてもじゃないけど、OLが会社帰りに行くようなものじゃなかったんです。でも『Yogini』によって、「痩せてキレイになりたい」「体にいい運動したい」「でも、ウェイトトレーニングでムキムキになりたいわけじゃない」というモヤモヤとした女性の欲求に、ヨガが応えられることがわかった。みんな「私が求めていたのはこれだった!」と思ったんですよ。
ちきりん ウェアもかわいくなったし、ヨガのイメージをトータルに変えましたね。ランニングも同じかも? 雑誌からおしゃれなイメージが広まりました。
田端 そうなんです。しかもその後、ヨガ講師になる人が増えて、ウェアも含めたヨガグッズをつくるメーカーができて、ヨガスタジオが増えて……と市場全体が拡大しました。既存のジムでは満たされなかったフィットネス市場が開拓されたんです。さらに、ホットヨガなど、ヨガの種類も細分化されていった。その最初のひと押しを『Yogini』という雑誌がやったのがすごいと思います。良いメディアってそういうものだなと。
ちきりん たしかにそうですね。そして今は、それをネットで実現する個人が出てきたと思います。例えばキャラ弁って、毎日ブログでアップしてた主婦から火がついて、「キャラ弁市場」みたいなマーケットが生まれた。
なぜ、亀山ブランドは失敗し、ヨガは大きな市場になったのか? 【特別対談】田端信太郎×ちきりんより
『Yogini』のような女性向けのヨガ専門誌ができたことで、女性向けの健康法・美容法としての「ヨガ業界」が立ち上がったとも言えます。
メディアという観測者なしには世界は立ち上がらないより
言葉を変えるとHipHop/R&B専門誌「Front/Blast」があったから日本のヒップホップシーンが立ち上がったてかんじでしょうか
